観てきました。今回は柴田よしきさんが、東京からいらっしゃったので二日間で三部全部観るという強行軍でしたが、楽しかったです。
浪花花形歌舞伎は第一回から欠かさず観ていますが、年々クオリティが上がっていると思います。今回、ちょっと稽古期間が短かったのか、セリフ食っちゃったり、飛ばしたりもありましたが、それでもぎこちなさはなかったし、なにより役者が自分のやりたい役を精一杯楽しんでやっている感が伝わってきて、気持ちいいです。
ということで、簡単な感想。
「敵討天下茶屋聚」
これは好きな演目。翫雀は、悪役っぽくないのでは?と思ったものの精一杯の熱演。キュートでした。もうちょっとはっちゃけてもよかったかも、と思いましたが、行儀がいいのも翫雀さんの魅力。ここでは、仇討ち兄弟の扇雀、亀鶴が、美しく品と悲壮感があってよかったです。近くの席に小学生くらいの子供がいたんですけど、大笑いしているのが聞こえてきました。子供も楽しめる演目とテンションというのは、なかなかないですよ。薪車さんもよかった。
「雨の五郎」
いやー、進之介キュートだわ。正直、ヘタクソなんですけど、この愛らしさはいったいなんなんでしょうか。もしかすると10年後くらいにブレイクするかもよ。
「かさね」
踊り巧者な孝太郎なので、これは安心して観ていられます。与右衛門役の愛之助とのバランスもよし。孝太郎丈はちょっと地味で寂しげなところが欠点ですけど、こういう役だとそれが風情になっていい感じです。
「曽根崎心中」
うーむ。ある意味、何度も演じているという緊張感のなさが悪い方向に出てしまった気がします。あまり感心できず。息のあったぞべぞべでれでれぶりは愛らしかったけど。あと道行きも美しかった。亀鶴の九平次も上々。
「夏祭浪花鑑」
愛之助大熱演。団七とか、「女殺」の与兵衛とか、ネイティブ大阪人ゆえの体温の高さというのは、江戸の役者がどんなに努力したって出せないもので……これはこの先当たり役になりそうですね。愛之助くんは、まだ養子になるまえ、千代丸くんという名で高校生だったときから知っているので、最近の躍進ぶりは本当にうれしいです。見るたびに上手になっている感じ。今回も、第一部の大きい悪役、第二部の色悪、そして団七と、全部演じ分けてぴったりはまっていました。七月の鳥辺山も楽しみです。