盟三十五大切

ひさしぶりに東京まで歌舞伎観に行ってきました。南北の盟三五大切。この演目、大好きなのです。

今まで源五兵衛は團十郎さんと幸四郎さんで観ましたが、今回は仁左衛門さん。團十郎さんがいちばん南北っぽかったと思うけど、仁左さんは「狂気」の演技が壮絶だし、なによりも美しくてうっとりでした。
團十郎さんが南北っぽいのは、悪い意味ではない作り物っぽさがあるからかな、と思いました。この演目だって、壮絶なんですが、リアルと言うより滑稽な部分もあるわけだし。幸四郎さんは、いかにもああいうことしそうなアブナイ感じでした。それぞれ演じる人によって持ち味が違いますねえ。

三五郎は菊五郎さんでしか観てないんですが、この人は本当にこの役にはまる。ちょっと悪くて、でも色気のあるいい男。

しかし、寒くなりました。風邪ひかないようにしないと。

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歌舞伎座夜の部

観てきました。通しの牡丹灯籠ははじめて観る演目。4日に行ったので、まだところどころ台詞入ってなかったところもありましたが、おもしろかったです。特に、仁左衛門と玉三郎の夫婦の、くたびれて爛れた色っぽさは眼福。今回、ふたりとも悪役だし、どっちかというと汚い格好なのに……。いやあ、いいものを観ました。吉弥さんもいい役でよかった。そして、壱太郎ちゃんは相変わらず可憐だ。
三津五郎さんの奴道成寺もよかったです。踊りが上手い下手って、踊りをやらない私には上手く説明できないけど、それでもなんかわかる。鞠つきのときなど、手の先に見えない鞠があるのがはっきりと見えたりするのです。所化がみんな真剣に三津五郎さんを見てたのが微笑ましかったです。

時間があったので、早めに行って昼の部終わりの羽衣も幕見で観ました。玉三郎さんも愛之助さんもすごくきれいでした。幕見では昔よく見たので、なんか懐かしかったです。

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松竹座昼の部

観てきました。お江戸ではあり得ない感じの座組。最近、松竹座はこういうの多くて、なかなかいいと思います。一年ぶりの壱太郎くんは、またかなり上手くなっていて……この先の楽しみが増えました。まだ十六歳なのに、踊りにちゃんと義経の風情があるのです。まだ台詞は固い感じですが、この若さであれだけやれば大したものです。十年後、二十年後が楽しみです。

そして、当たり前ですが、仁左衛門さんの知盛が素晴らしい。寿命が延びました。愛之助くんの魚づくしもよかった。
夜の部は来週。

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第4回浪花花形歌舞伎

観てきました。今回は柴田よしきさんが、東京からいらっしゃったので二日間で三部全部観るという強行軍でしたが、楽しかったです。
浪花花形歌舞伎は第一回から欠かさず観ていますが、年々クオリティが上がっていると思います。今回、ちょっと稽古期間が短かったのか、セリフ食っちゃったり、飛ばしたりもありましたが、それでもぎこちなさはなかったし、なにより役者が自分のやりたい役を精一杯楽しんでやっている感が伝わってきて、気持ちいいです。

ということで、簡単な感想。

「敵討天下茶屋聚」
これは好きな演目。翫雀は、悪役っぽくないのでは?と思ったものの精一杯の熱演。キュートでした。もうちょっとはっちゃけてもよかったかも、と思いましたが、行儀がいいのも翫雀さんの魅力。ここでは、仇討ち兄弟の扇雀、亀鶴が、美しく品と悲壮感があってよかったです。近くの席に小学生くらいの子供がいたんですけど、大笑いしているのが聞こえてきました。子供も楽しめる演目とテンションというのは、なかなかないですよ。薪車さんもよかった。

「雨の五郎」
いやー、進之介キュートだわ。正直、ヘタクソなんですけど、この愛らしさはいったいなんなんでしょうか。もしかすると10年後くらいにブレイクするかもよ。

「かさね」
踊り巧者な孝太郎なので、これは安心して観ていられます。与右衛門役の愛之助とのバランスもよし。孝太郎丈はちょっと地味で寂しげなところが欠点ですけど、こういう役だとそれが風情になっていい感じです。

「曽根崎心中」
うーむ。ある意味、何度も演じているという緊張感のなさが悪い方向に出てしまった気がします。あまり感心できず。息のあったぞべぞべでれでれぶりは愛らしかったけど。あと道行きも美しかった。亀鶴の九平次も上々。

「夏祭浪花鑑」
愛之助大熱演。団七とか、「女殺」の与兵衛とか、ネイティブ大阪人ゆえの体温の高さというのは、江戸の役者がどんなに努力したって出せないもので……これはこの先当たり役になりそうですね。愛之助くんは、まだ養子になるまえ、千代丸くんという名で高校生だったときから知っているので、最近の躍進ぶりは本当にうれしいです。見るたびに上手になっている感じ。今回も、第一部の大きい悪役、第二部の色悪、そして団七と、全部演じ分けてぴったりはまっていました。七月の鳥辺山も楽しみです。

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松竹座

行ってきました。市川團十郎と坂田籐十郎の共演。しかも、適当に買ったのに、桟敷ラインのいい席でした。ラッキー。

毛谷村は好きな演目だし、最近の私は翫雀ラブなのでとても楽しかったです。最近の翫雀さんはすごくいい男だ。たぶん、多くの人からつっこまれるのを承知で書くけど、私の中では海老蔵よりいい男だ。今回もうっとり。ところで、翫雀さんは、今回の六助もニンだと思うけど、お園も絶対可愛いのではないかと。いずれやってみてほしいです。(まだだよね?)

勧進帳。團十郎さんが元気になったのはめでたいことですが、どうも團十郎海老蔵籐十郎と、セリフのもったりした三人の舞台というのは、トンカツのつけあわせが唐揚げという感じで、激しく胃もたれする感じ。せめて富樫に仁左衛門や菊五郎あたりの口跡の爽やかな人がいたらなあ。とはいえ、なんか妙におもしろい勧進帳だったのも事実。

封印切は、今現在で最高の配役かと。やや、我當さんが体調悪そうなのが気になりましたが、まるで流れるような舞台でした。忠兵衛が途中、興奮のあまりなに言っているのかわからなくなるあたりは、評価が分かれるかもしれませんが、どうしようもない焦燥感はすごくリアルだった。切なさと、それを笑い飛ばすような距離感があって、とてもおもしろかったです。

正月からいい舞台を観ました。我當さんがちょっと心配だなあ。
しかし、籐十郎さんは芸が枯れるというより、年々脂っこくなってきているような気が……。

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