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ベニーズ・ビデオ

ということで、ハネケ、二本目の「ベニーズ・ビデオ」 いや、これはすごいわ。これ観られただけでも、DVD-BOX買った価値はありました。

豚を屠殺するビデオに魅了された、いいところのぼんぼん、ベニー少年は、家に招いた女の子を衝動的に殺して、そのシーンをビデオで撮影。そのビデオを見た親は、ベニーの犯罪を隠蔽することに……という話。このベニーを演じている少年は、ファニー・ゲームでの「彼」。顔を見た瞬間、びっくりしました。ハネケ監督はたぶん、この子に惚れ込んだんだろうな。

この映画のすごいところは、後半。父親が死体の始末をして、母親とベニーがその間、家から離れてエジプト旅行に行くのですが、父親のことは一切映さない。母とベニーがエジプトを、いかにもなパッケージツアーで旅するシーンだけを延々と映している。その一見平和な日常(母もベニーも事件についての話などほとんどしない)から、だらだら漏れてくる異常さというのがすごい。

どうも「ピアニスト」や「隠された記憶」や「ファニー・ゲーム」から、ハネケという監督は、観客を悪趣味に挑発する監督だと思っていたんですが、どうもそうではないような気がしてきた。この人、実はものすごーく、真摯で真面目な人なんじゃないだろうか。だから、物語性で、観客を安心させたくないんじゃないだろうか。
特典のインタビューからも、そんな感じがします。

あと、隠された記憶やファニー・ゲームなどのときも思ったけど、なにも起こってないときのなにかが起こりそうな緊張感が、他の映画の緊張感と、くらべものにならないほど怖いわけで、そこがこの人の非凡な点のひとつだとも思いました。この緊張感があるからこそ、「隠された記憶」の「映画史上もっとも残酷なシーン」(というのは言い過ぎだと思うけど)が描けるのでしょう。

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