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「アレックス」について

昨日、「カノン」を観たことで、「アレックス」についていろいろ考えたので、書きとめておきます。
正直、人に薦めようとはまったく思わない映画ですが、わたしはこの映画が大好きなのです。神経を逆なでするようなカメラワークだとか、目を覆いたくなる暴力の数々、また、長時間の気分が悪くなるほどリアルなレイプシーンなど、どう考えても、わたしの好きなタイプの映画ではないのに、関わらず。
なぜなら、この映画は「どんな悲惨な運命や暴力に出会っても、壊れないものがある」ということを描いた映画だと思うから。
(追記:こういうテーマの映画や小説はたくさんあるけど、「アレックス」の凄いところは、主人公たちがもう立ち直れないほどめちゃくちゃに壊されているという部分です。そうして、そこまで壊されて、このあとの人生になんの希望もなかったとしても、それでも壊れないものがある。それは映画を観ている観客にしか伝わらないことなのですけど)
ただ、この映画は冒頭とラストに「時はすべてを破壊する」というメッセージが出ます。批評サイトなどでも、「このメッセージこそが作品のテーマ」と言われています。このメッセージと、わたしの感動した部分がまったく真逆だということが、ずっと引っかかっていたのです。はっきりと打ち出されているからには、これが監督の訴えたいことに違いない。だから、わたしの受け取り方は、きっとこの監督の考えたテーマとは違うのだろうと思っていました。しかし、監督の意図と真逆だとしても、わたしが感動したことには変わりはないし、それがわたしにとっての「アレックス」なんだろうな、と思っていました。

しかし、「カノン」の中では、画面に、「アレックス」よりももっと頻繁に、画面にメッセージが文字という形であらわれます。それは、監督のメッセージなどではなく、もっと人を食った、逆説的なものばかりです。つまり、「アレックス」のメッセージも、同じようなもので、まっすぐ受け止める必要などないのではないか、ということです。むしろ、「カノン」の「危険!あと30秒以内に映画館を出ろ」というメッセージと同じく、文字として表されているからこそ、信用してはならない類のメッセージなのではないかと。「時」によって破壊されないものは、こんなことばでも破壊できないはずだから。

それに今日気づいて、なんか引っかかっていた部分が、すっきりクリアになったので、うれしくなって書きとめておきます。
しかし、露悪的でインモラルなくせに、やたらにロマンティックなのって、リアルで美意識のないクライヴ・バーカーみたいだよなあと思いました。そう考えてみたら、このふたり、坊主頭でハンサムというあたりも似ている。

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